戦後の子供たちの体格の向上はめざましく、我が家の中1も両親より背丈が伸びてしまい大人サイズの衣服や靴などを、着用するようになりました。今や子供のお下がりを親がもらう時代になったのかと思います。食生活も昔とは違い生活様式もすっかり一変したなかで、身体の成長はともかく、こころの発達はどうなっているでしょうか。情報化時代と言われ色々な情報が溢れており、否応無しに生活環境の中へ入り込んできます。その中にあって身体の急な成長、受験そして夜は塾通いと分刻みの生活が展開しています。
 ところで不登校の子供が年々増えていますが、1993年の調査によると小中学校の生徒で7万5千人だそうです。「学校に行かないのは、怠けているからだ」という誤解が多いようですが、このような誤解によって子供は親や先生に責められたり、あるいは自分自身を責めたりすることも少なくありません。不登校の子供は本当は学校に行きたいと願っています。子供が学校に行けないのは心も身体も疲れ果てたためです。脳機能が疲労したために様々な精神症状や身体症状が現われ、そのひとつが学校に行くことができないという症状なのです。脳が疲労するのは学校や家庭で求められる期待や要求によって不安や緊張が働き、いじめ、家庭内のトラブル、友人関係の変化、周囲への過度な配慮や責任感といったストレスが子供の周囲に鬱積しています。休みない勉強やクラブ活動、塾通い、夜更かしなどで大脳皮質連合野や間脳下垂体が疲労してきます。すると脳の防衛反応として『休みなさい』というサインを出し始めます。これが不登校の原因です。不登校の子供は睡眠や覚醒リズムが乱れています。「寝る子は育つ」とよく言いますが、寝入りばなの深いノンレム睡眠期に限り通常の10倍以上の成長ホルモンが下垂体から血液中に毎晩放出されています。このホルモンはたんぱく質を同化し疲労を回復させ骨を伸ばす働きがあります。しかし夜更しをしてから眠っても成長ホルモンの放出は少なくなります。子供を早く寝かせないと身長が伸び悩み、その他の発育も停滞することが分かってきました。
 それでも朝起きが出来なくて、学校を休むことがある子供がいます。睡眠の時間帯が通常の生活時間より、一定の時間だけ後方にずれて戻れなくなった睡眠覚醒リズム障害のひとつに、睡眠相後退症候群があります。この症状は思春期に出現する場合が多いようです。夜更かしの生活を続けたことが睡眠リズムを崩すきっかけとなりますが、一旦遅れた時間帯から戻れなくなる体質が原因のようです。目覚めた後も全身がだるい、吐き気、めまい、食欲不振、胸がドキドキするなどの症状がよく出ることがあり、一日中調子がよくありません。ただし、夕方から夜にかけては一日の中で一番体調も気分も、よくなるはずです。睡眠相後退症候群になって学校に行けなくなった子供の中には、2〜3才の頃から親と一緒に夜更かしをして起きていた子供がいます。
●夜間の時間帯が網かけしてある。横線で示される睡眠相は、上の図では後退している様子が分かる。

表1 睡眠相後退症候群の診断基準
A: 望ましい時間に入明できない、あるいは望ましい起床時刻にひとりでに目が覚めないという訴え、または過度の眠気の訴え。
B: 望ましい睡眠の時間帯に比べて、患者の主要な睡眠エピソードの位相が後退している。
C: 症状が少なくとも1ヵ月は続く。
D: 症状が少なくとも1ヵ月は続く。
1. 健康的で正常な質と持続を持った睡眠が習慣的にとれる。
2. ひとりでに目覚める。
3. 位相は後退しているが安定した24時間周期の睡眠覚醒リズムが持続する。
E: 毎日の睡眠表により習慣的な睡眠相後退が少なくとも2週間維持していることが明らかである。
F: 習慣的睡眠の位相が後退している事が次の検査成績から明らかである。
1. 24時間睡眠ポリグラフ(叉は2夜連続して睡眠ポリグラフを行いその間にMSLTを行う)。
2. 体温の連続記録で絶対的な最低体温の出現が普段の(後退した)睡眠期の後半にずれている。
G: 入明困難や過度の眠気を引き起こすいかなる他の睡眠障害の診断基準もあてはまらない。
 
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